NOAH('22→’23)
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去年末に出版した第一作のNOAH(21'→23’)のノウハウを活かした本命に第二作。全ての面で前回より力を身につけ洗練された三人の作品を9作品収録しています。 画像作成AIに力を借りた挿絵によってより豊かなイメージが表現出来るようになりました。
○テーマ散文「日本新都」
もし日本の首都が仙台になったら。をキーワードにそれぞれの視点で描きました。「流行難民」は反対デモという狂気に飲まれる若者達の蜃気楼のような一瞬を、忠実な東京の描写と共に描いています。「僕らのメッカ」は受入れ側である仙台を舞台に繊細な心情描写と共に、激動にあっても変わらない人の営みを描きます。最後となる「厚労省お引っ越し係紛失調査班」は東京と仙台を繋ぐ物語としてある一つのコンテナを巡る攻防となっています。
○曲解散文
雷冴花の描いたプロットに沿ってそれぞれが物語を書く。という趣旨の企画です。人物や大まかな物語は同じなのに全く異なる読み味へと変貌した三つの散文から私達NOAH編集部の個性を読み比べして頂ければ幸いです。
○自由散文
それぞれが今書きたい、今読んで欲しい、小説を今出せる最大の力で書き切った三作品を収録しています。 「幼女と生物」では妖艶な雰囲気を下地にエロシズムとミステリアスが相補的に入り組んだ作品となっています。余白の美しい世界観は読者の空想を最大限に広げます。作品の字数は少ないですが、どの作品よりも読後の味わいが深い仕上がりとなっています。芸術的であり文学的な一文字一文字はとても甘美な味わいがします。 「遺棄残った天使の話」ではハイファンタジー的な世界観で巻き起こる天使と記者の恋愛となっています。スチームパンクやアクション、ポリティカルな文脈も含まれ巧みに融合する様は、作品に登場し重要な影響を及ぼす「図書館」そのものです。緻密に磨き上げられた大海から抽出された極上の一滴です。 「明日の花たち」では魔法少女×サイバーパンクをテーマに、情報世界に適応するため身体を機械に近づけてしまった少女達を描きます。子どもと大人の境界を生きる少女達が、情報世界と現実世界の狭間に生きる。精神こそ、意思こそ、人間が人間である唯一の証明だと信じる筆者が、情報にまみれた世界に輝く一縷の崇高な純粋を見つめます。